Ⅰでは各国別の日本人と外国人の国際結婚手続きについてまとめています。
このサイトに記載している各国の結婚手続きは予告なく変更される可能性がありますので、必ず当該国の官憲が提供している最新情報を調査したうえでご自身の責任において行動してください。
Ⅱでは日本人と外国人との国際結婚手続きについての総論をとりあげています。各国に共通の手続きについて理解しましょう。
ア
アゼルバイジャン共和国
アフガニスタン・イスラム共和国
アメリカ合衆国
アラブ首長国連邦
アルジェリア民主人民共和国
アルゼンチン共和国
アルバニア共和国
アルメニア共和国
アンゴラ共和国
アンティグア・バーブーダ
アンドラ公国
イ
イエメン共和国
イスラエル国
イタリア共和国
イラク共和国
イラン・イスラム共和国
ウ
ウガンダ共和国
ウクライナ
ウズベキスタン共和国
ウルグアイ東方共和国
エ
英国
エクアドル共和国
エジプト・アラブ共和国
エストニア共和国
エチオピア連邦民主共和国
エリトリア国
エルサルバドル共和国
オ
オーストリア共和国
オマーン国
オランダ王国
カ
ガイアナ共和国
カザフスタン共和国
カタール国
ガーナ共和国
カナダ
カーボヴェルデ共和国
ガボン共和国
カメルーン共和国
ガンビア共和国
キ
ギニア共和国
ギニアビサウ共和国
キプロス共和国
キューバ共和国
ギリシャ共和国
キリバス共和国
キルギス共和国
ク
グアテマラ共和国
クウェート国
クック諸島
グレナダ
クロアチア共和国
ケ
ケニア共和国
コ
コスタリカ共和国
コソボ共和国
コートジボワール共和国
コモロ連合
コロンビア共和国
コンゴ共和国
コンゴ民主共和国
サ
サウジアラビア王国
サモア独立国
サントメ・プリンシペ民主共和国
ザンビア共和国
サンマリノ共和国
シ
シエラレオネ共和国
ジブチ共和国
ジャマイカ
ジョージア
シリア・アラブ共和国
ジンバブエ共和国
ス
スイス連邦
スウェーデン王国
スーダン共和国
スペイン
スリナム共和国
スロバキア共和国
スロベニア共和国
スワジランド王国
セ
赤道ギニア共和国
セーシェル共和国
セネガル共和国
セルビア共和国
セントクリストファー・ネーヴィス
セントビンセント及びグレナディーン諸島
セントルシア
ソ
ソマリア連邦共和国
ソロモン諸島
ハ
ハイチ共和国
バチカン市国
パナマ共和国
バヌアツ共和国
バハマ国
パプアニューギニア独立国
パラオ共和国
パラグアイ共和国
バルバドス
バーレーン王国
ハンガリー
ヒ
東ティモール民主共和国
フ
フィジー共和国
フィンランド共和国
ブータン王国
ブラジル連邦共和国
フランス共和国
ブルガリア共和国
ブルキナファソ
ブルネイ・ダルサラーム国
ブルンジ共和国
ヘ
ベトナム社会主義共和国
ベナン共和国
ベネズエラ・ボリバル共和国
ベラルーシ共和国
ベリーズ
ベルギー王国
ホ
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ボツワナ共和国
ポーランド共和国
ボリビア多民族国
ポルトガル共和国
ホンジュラス共和国
マ
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
マーシャル諸島共和国
マダガスカル共和国
マラウイ共和国
マリ共和国
マルタ共和国
ミ
ミクロネシア連邦
南アフリカ共和国
南スーダン共和国
メ
メキシコ合衆国
モ
モザンビーク共和国
モナコ公国
モーリシャス共和国
モーリタニア・イスラム共和国
モルディブ共和国
モルドバ共和国
モロッコ王国
モンテネグロ
ヨ
ヨルダン・ハシェミット王国
ラ
ラオス人民民主共和国
ラトビア共和国
リ
リトアニア共和国
リビア
リヒテンシュタイン公国
リベリア共和国
ル
ルクセンブルク大公国
ルーマニア
ルワンダ共和国
レ
レソト王国
レバノン共和国
ロ
ロシア連邦
北朝鮮
台湾
パレスチナ
香港
マカオ
外国人の方との遠距離恋愛を乗り越えてようやくお相手がプロポーズをしてくれた(プロポーズを受けてくれた)ものの、さて法律上はどうやって結婚するのか?、結婚手続きはどのように進めるのか?という問題にぶつかった方も多くいらっしゃることと思います。
外国人とご結婚される際には日本人同士の結婚と異なって手続きそのものが面倒であるだけでなく、原則としてお互いの国で結婚手続きをしなければならないので日本人同士ならば1回で済むことを2回も!そして2か国の違うやり方でやらなければならないのですから大変です。
国によっては外国人と自国民とが結婚をすることを厳しく制限している国もあれば、結婚自体が許可制の国もあります。また結婚式を必ずしなければならない国もありますし、その結婚式の日取りはお寺のお坊さんが有無を言わさず決めてしまうという国も。
でもご安心ください。お客様のほとんどが、私どものほんの少しのサポートだけで、あるいは全くサポートがなくても、日本とお相手の国の双方での法律上の結婚は自力で行うことができていますので、あなたも無事に結婚することができるでしょう。そのためにこの記事を参考にしてください。
国際結婚の場合にやっかいなのが、晴れてお二人の母国において法律上のご結婚が成立した後に、もうひとつの難関が待ち受けていることです。ご夫婦がどちらの国で今後結婚生活を送られるのかという選択を迫られ、これがビザの問題に直結します。日本で結婚生活を送られるのであれば外国人であるお相手が日本のビザを取得しなければなりませんし、お相手の国で結婚生活を送られるのであればあなたがお相手の国のビザを取得しなければなりません。
そしてこのビザの取得は不許可になってしまうとお相手が日本で暮らしたり、あなたがお相手の国で暮らしたりすることができなくなってしまうので、とても慎重に対処しなければなりません。
まずはじめに、日本の結婚手続きは世界的にみてもとても簡単な手続きになっています。日本人同士の結婚の場合、結婚届を記入して提出しそれが市区町村役場に受理されればそれで結婚が成立します。通常はお二人そろって婚姻届を提出しに役所まで出向くことが多いですが、実際は妻か夫のどちらか一方が出向いて提出しても良いですし、その婚姻届の提出すら代理人よる提出も可能とされています。
ところが、他国では結婚が日本ほど簡単でないことが通常です。結婚当事者が二人そろって役所に出向かなければ結婚をすることができないなどというのは序の口で、5つの役所を経ないと結婚できない国や、公告といって結婚前に結婚することを世間にアナウンスしてからでないと結婚できない国、結婚式を執り行わなければ結婚できない国、性病や精神病にかかっていると結婚できない国、特定の国の男性との結婚を禁じている国、50歳を超える外国人男性と自国民女性との結婚を禁止している国、結婚相手がイスラム教徒でないと結婚できない国、経済的な基盤(一定の収入)がないと結婚できない国など、それはもう千差万別なのです。結婚手続きと結婚の条件には、その国の文化がもっとも色濃く反映されているといえるでしょう。
ここで皆さんは、必ず相手の国でも結婚を成立させなければならないの?と疑問に思われるのではないでしょうか。この答えはYESです。どちらかの国で結婚が法律に成立していない状況のことを法律上は跛行婚(はこうこん:limping marriage)と呼んでいます。例えば日本の配偶者ビザの申請をするときにも原則として両国で結婚手続きが完了したことを両国の結婚証明書などの提出で証明することとなっていますから実際にも対応を余儀なくされます。
一方で、必ず相手の国でも結婚手続きをしなければならないの?という皆さんの疑問に対する回答は国によってYesであったりNoであったりします。例えば、日本での結婚手続きを先に行った場合、中国、アメリカ、ロシアなどの国では改めて結婚手続きを行う必要がありません。なぜなら、これらの国では外国で成立した自国民と外国人との結婚は、自動的に自国内でも有効な結婚と認めるとしているからです。つまり中国、アメリカ、ロシアなどの国では、日本で有効に結婚が成立すればそれらの国で改めて結婚手続きをしなくても結婚が(自動的に)成立するため跛行婚にはなりません。
一方で、韓国、台湾、ベトナム、ドイツ、スペイン、フィリピン、ドミニカ共和国などの国では、日本で先に結婚をしても自国の政府に後からきちんと結婚を届け出なければなりません。従って、お相手の国の結婚制度がどのようなものなのかきちんと調べる必要があります。
日本で日本人と外国人が結婚をする場合も、日本人同士の結婚と同じく市区町村役場に結婚届という書類を提出して行います。そしてこれまた日本人同士の結婚と同じく、提出した結婚届が受理されれば外国人と日本人との国際結婚も成立します。受理された時点で「婚姻届受理証明書」の発行を受けられます。そしてその受理からおよそ1週間程度で日本人の「戸籍謄本」にお相手が配偶者として記載されることとなります。
日本人同士の結婚と同じで、日本人と外国人が2人そろって婚姻届を提出しに役所へ出向く必要はありません。日本人だけが婚姻届を提出しに出向いても良いのです。従って、お相手の外国人は海外にいたまま、日本人だけで日本側の結婚手続きを完了させることができます。
3-2-1 お相手の外国人が海外にいる場合
上述のように日本人だけで結婚手続きを行うことができます。しかしながら、お相手の外国人が日本にいて一緒に役所に出向く場合よりも少し書類の準備が大変になります。
お相手側が用意しなければならない結婚書類である「婚姻要件具備証明書」に相当する書面を海外では入手できないことが多く、その代替書面としての「独身証明書」を提出せざるを得ないことが多いからです。
「婚姻要件具備証明書」というのは、お相手がお相手の国の法律で結婚できる状況にあることを証明する書面で、この書面によってお相手の国の結婚の要件をすべて満たしていることが証明されていなければなりません。日本で日本人と外国人が結婚をする際には、外国人がこの婚姻要件具備証明書を提出しなければならないのですが、ほとんどの国ではこのような書類の発行はしておらず、「独身証明書」しか入手できないことが多いのです。
ではこの独身証明書ではなぜダメなのかというと、独身証明書では独身であることだけしか証明しておらず、他の条件を満たしているのかいないのかまったくわからないからです。
このような独身証明書のみを提出されても日本の市区町村役場の担当者は、外国人のお相手がその国の法律上結婚できる状態にあるのか分からない(独身であることしか分からない)ので、婚姻届をその場で受理することができないという取扱いになることが多くあります。この場合は、市区町村役場の担当者が国の機関である法務局にこの結婚届を受理しても良いですか?というお伺いをかけることとなり時間がかかります。これを受理照会といいます。
3-2-2 お相手の外国人が日本にいて、日本の中長期ビザをもっている場合
お相手の外国人が日本にいらっしゃる場合、圧倒的多数の方はお二人そろって市区町村役場に行かれます。これは日本人同士のご結婚でも同じですね。法律上はその必要がなくても、挙式をしなくても結婚が成立する日本では、結婚届の提出という行為が結婚の儀式そのものであるからでしょう。
実際、お二人で市区町村役場に出向けば、お相手の外国人の国籍を証明するためにパスポートの原本を提示すれば済みますので、書類の準備も簡単になります。
また海外在住の外国人が入手困難な婚姻要件具備証明書も、お相手が日本の中長期ビザをもっていて在留カードの交付を受けている場合には、日本にある大使館で婚姻要件具備証明書を発行してくれる国が多くあります。婚姻要件具備証明書があれば、お相手の外国人がその国の法律で要求されている結婚の条件をすべて満たしていることが明らかになりますので、市区町村役場で婚姻届がスムースに受理され3-2-1でご紹介した「受理照会」になる可能性が小さくなります。
3-2-3 お相手の外国人が日本にいるが、短期ビザで日本に滞在している場合
ご結婚相手の外国人が日本にいるが短期ビザでの滞在であるため在留カードをもっていない場合も、少々手続きが面倒になる可能性があります。なぜなら、日本にある大使館では、短期ビザで滞在中の自国民に対しては婚姻要件具備証明書を発行しない国が多いからです。この場合には、自国から持参した独身証明書などを提出することになるでしょうが、3-2-1で述べた理由により、受理照会となる可能性が高くなります。
結論から申し上げますと、市区町村役場によってかなり要求する書類に差がありますので、事前に必ず婚姻届を提出する予定の市区町村役場で確認しましょう。例えば、岐阜市のホームページには必要書類として次の記述があります(2017年1月現在)。
・婚姻届書(成人の証人2人の署名、押印があるもの。未成年の方は父母の同意が必要)
・婚姻要件具備証明書および日本語訳文
・出生証明書および日本語訳文
・国籍証明書および日本語訳文
・届出人の印鑑(朱肉を使用するもの)
・届出人の本人確認ができるもの(在留カード、運転免許証、パスポートなど)
・戸籍謄本(届出地に本籍のない方のみ)
一方で川崎市は、婚姻要件具備証明書の記載で国籍、氏名、生年月日等が確認できない場合にのみパスポート原本を要求しています(2017年1月現在)。つまり川崎市では、婚姻要件具備証明書に国籍、氏名、生年月日が記載されているのであれば、パスポートすら提示する必要がないという立場ですが全国的な標準からすればかなりレアな取り扱いです。しかし本筋からすればこの取り扱いが正しいです。あれもこれもと要求される場合で、その書面をきちんと準備できるときにはそれに従えばよいと思いますが、ある書面を取り寄せるのに時間がかかったり、お金がかかったりする場合には本当にその書面が必要なのか確認してみましょう。DHLなどの国際輸送便で本国から書類を取り寄せるのに送料だけで8000円近くかかったなどということは良くあることです。
国籍証明書としてパスポート原本を提示することができない場合に、本来はノータライズされたコピー(公証人による真のコピーであることの認証)が要求されてしかるべきところ、単なるコピーに婚姻届の届出人が「原本の写しに相違ない」と書くだけでOKという対応をする市区町村役場もあります。
このような本来同一であるべき国籍証明書の取扱いに差異があることはおかしなことなのですが、一方で国ごとに証明書に記載されている事項が異なるため、必要な事項を確認するためにはいくつかの書面を組み合わせて提出してもらう必要があるという事情もあります。
たとえばアメリカの婚姻要件具備証明書とみなされる「SINGLE AFFIDAVIT FOR MARRIAGE」にはご両親の名前が記載されますので、別途「出生証明書」を要求されることは通常ありません。一方で、他国の大使館が発行する「婚姻要件具備証明書」には両親の名前が記載されないことも多くあるので、そのような場合は「婚姻届」に記載した両親の名前を確認するために「出生証明書」が要求されるでしょう。
アメリカ、中国、ロシアなど他国で先に結婚が成立した場合に自国へ報告する必要がないとの制度をとっている国を除いて、日本での結婚の成立をお相手の国に知らせる必要があります。多くの場合、日本で結婚が成立したことを証明する文書である戸籍謄本とその翻訳を要求されることが多いでしょう。ドミニカ共和国のように、日本の戸籍謄本をそのままでは領事館に提出することができず、まず日本外務省で認証を取得しなければならない国もあります。ベトナムなどの国は日本語の戸籍謄本だけを提出すればよくその国の言葉に翻訳することすら不要な国もあります。
お相手の国の機関に結婚を届け出たことを証明する文書は、日本の配偶者ビザの申請の際に必要なので必ず受け取りましょう。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザほか多数。